当院では、患者様の治療に西洋医学に加え、漢方医学を取り入れています。
腰痛、神経痛、肩こり、関節痛、筋肉痛、足がつる、打撲などの症状に対して漢方薬治療が可能です。また、西洋医学的には異常がない不眠、頭痛、冷え、めまい、便秘、下痢、のぼせ、むくみ、だるいなど全身的なあらゆる体調不良の症状に対して、漢方薬が有効と思われる場合には積極的に漢方治療を行います。

1.西洋医学との結合

西洋医学と漢方医学には、それぞれ得意な分野があります。当院では、患者さんが一日も早く痛みから開放され、健康を取り戻すためには、西洋医学と漢方医学を組み合わせた治療を行い、漢方医学のよさと西洋医学のよさを最大限に活用することを心がけています。

2.漢方とは

漢方治療の診断、考え方は西洋医学と全く異なります。
漢方では、病気や不調を体の気・血・水のバランスが崩れた状態と考え、そのバランスを整える治療を行います。患者さんの崩れたバランス状態を「証」といい、それに合わせて漢方薬を考えます。患者さんの症状や訴えがあれば、西洋医学的には病気とまではいかなくても、漢方的な診方でとらえて治療を行います。したがって、体調不良、冷え症なども治療の対象になってきます。それは漢方治療の有利な点と言えます。
整形外科系の漢方治療では、筋肉や関節などの慢性的な痛みを軽減することが中心になります。このような慢性痛の主な原因は漢方で言う「瘀血」や「水滞」と考えられます。

3.漢方薬とは

漢方薬は複数の生薬が、決められた分量で組み合わせて作られています。それぞれの生薬が、多くの有効成分を含まれているので、1剤で複数の症状の改善が期待できます。
また、漢方医学では、患者さんを病名で診断するだけでなく、患者さん一人一人の体質や病気の状態を見極めながら、最適な漢方薬を使い分けていく、いわゆる「オーダーメード」の治療を行います。ですから、同じ病気でも患者さんの状態によりのむ薬が違うことも、同じ薬がいろいろな病気に応用されることもあります。これを「同病異治」「異病同治」と呼んでいます。

4.漢方薬の効果(漢方薬は長く飲み続けないと効果はない?)

「漢方薬は長く飲まないと効果が出ないのでは?」とよく言われますが、それは誤解といえます。
確かに飲み続けることで体質や体調を改善していくのが漢方薬の大きな特徴です。そのため、長く服用しないと効果が出ないという誤解を招いているのかもしれませんが、処方される漢方薬によっては飲んですぐ効くものもあるのです。例えば風邪で使う葛根湯や筋痙攣・こむらがえりに使う芍薬甘草湯などです。通常は1~4週間飲み続けたら利き目を実感できます。副作用はなく飲めている場合は約3か月程度をめどに効果判定をしています。効果が何もなければほかの薬を考えます。もちろん例外はあり、たとえば、体のエネルギー・栄養「気・血」を補う「補剤」に分類される薬はもっと長く飲んで効果を見ることがあります。

5.漢方薬の副作用

「漢方薬は安全で副作用がない」と思われている人が多いかもしれませんが、漢方薬も薬ですので、副作用はあります。
「証:その人の体質、病状」に合う漢方薬なら副作用はほとんどありません。長期間飲み続けても安全ですし、かえって体調はよくなり抵抗力もつき、病気にかかりにくくなります。
「証」に合わない薬を飲めば、胃腸障害や吐き気、蕁麻疹などの副作用を起こすことがあります。ただし、西洋薬と比べれば程度も軽く頻度も少ない場合がほとんどです。

6.漢方薬の保険診療

1976年に漢方薬が保険診療として認められました。医療用として医師が処方する漢方薬はエキス製剤で、普通の粉薬のように簡単に飲めます。実は漢方エキス製剤は品質が安定しており、また日本独自のもので、日本では漢方治療を受けることに恵まれた環境にあります。その上、保険診療なので安価です。当院では、漢方薬は使い方次第では、大変治療に有効であると思われ、取り入れています。

7.整形外科と漢方薬

整形外科の分野では特に次のような症状の病気に効果的です。
腰痛、神経痛、肩こり、五十肩、関節痛、こむら返り、足のしびれ、変形性膝関節症、打撲や捻挫に効く漢方薬もあります。広い適応があるお薬なのです。