医療コラム
〜シーズン前に知っておきたい、成長期の肘・肩のケガのこと〜
「少し痛いけど、大会があるから」──その判断が長期離脱につながることがあります
春の大会が終わり、夏の大会に向けて練習が本格化するこの時期。
「肘が痛いとは言っているけど、投げられているから大丈夫だと思う」
「しばらく休めばよくなるだろう」
そう思って様子を見ているうちに、気づけば数か月が過ぎていた──。
野球肘・野球肩は、放置すると骨や軟骨に深刻なダメージが残り、長期の投球禁止や手術が必要になるケースもあります。
「もう少し早く来てくれれば」と悔しく思うことも少なくありません。
野球肘・野球肩とは
投球動作をくり返すことで、肘や肩に慢性的な負担がかかることで起こるスポーツ障害です。
特に成長期(10〜15歳ごろ)の子どもは、骨がまだ柔らかく、繰り返しの負荷に弱い時期。
大人では起こらないような傷み方をすることがあります。
代表的なものとして:
- 野球肘(肘の内側・外側の痛み)
- 離断性骨軟骨炎(肘の外側の軟骨・骨が剥がれるケガ。悪化すると手術が必要になることも)
- 野球肩(肩の痛み・投球時の引っかかり感)
いずれも「成長板へのダメージ」が関わっており、レントゲンや超音波検査(エコー)でしか確認できないものもあります。
こんな様子があれば要チェック
- 投げるときに肘や肩が痛む
- 投球後に違和感が残る・腫れる
- 腕を伸ばしきれない、曲げきれない
- 「なんとなく肘がおかしい」と言っている
- 球速や制球が落ちてきた
痛みをはっきり訴えなくても、動きや表情に変化が出ていることがあります。
「最近フォームが乱れてきた」と感じたら、それも一つのサインかもしれません。
整形外科では何を確認する?
当院では、レントゲンに加えて超音波検査(エコー)を活用しています。
エコーは骨・軟骨・靭帯の状態をリアルタイムに確認できるため、「今どのくらいのダメージがあるか」「投球を続けていいか」の判断に役立ちます。
「まだ投げていい」「今は少し量を減らして」「この期間は休もう」──
検査の結果に基づいて、具体的なアドバイスができます。
オーバーユースかどうかを正確に見極めることができるのは、医療機関だからこそです。
「投げるな」と言うだけじゃない。動かしながら回復を目指します
やまだ整形外科リハビリ科は、「リハビリ」を大切にしているクリニックです。
当院がリハビリで大切にしているのは、「なぜそのケガをしたのか」を一緒に考えることです。
同じポジションで同じ練習をしていても、ケガをする子とそうでない子がいます。
その差には、肩甲骨の動き・体幹の安定性・下半身の使い方・フォームのクセなど、さまざまな要因が絡んでいます。
理学療法士が体の動かし方を丁寧に評価し、
- 肘・肩への負担を減らす投球フォームのポイント
- 肩甲骨まわり・体幹を整えるトレーニング
- 自宅でできるセルフケアとウォームアップ
などを具体的にお伝えしながら、できるだけ早くグラウンドに戻れるようサポートします。
薬やリハビリの内容は、その子の状態に合わせて調整しながら進めていきます。
「これが正解」という一つの答えがあるわけではなく、合うものを一緒に探していくのが当院のスタンスです。
「痛くなってから」ではなく「パフォーマンスを維持するために」来てほしい
野球をしている子の中には、「どこかいつも痛い」が当たり前になっている子も少なくありません。
でも、それは本来の状態ではありません。
シーズンの合間に一度状態を確認しておくことで、
- 見えていなかったダメージを早期に発見できる
- 悪化する前に対処できる
- フォームや体の使い方を見直すきっかけになる
「今は痛くないけど、この夏に向けて一度診てもらいたい」
そんなご相談も、大歓迎です。
大好きな、大切な野球だからこそ、長く続けられるように身体をメンテナンスしましょう、。